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過去の値動きから未来を予測し、利益を得ようとする自動売買。相場の転換点や市場参加者の心理などを汲み取り柔軟にトレードする裁量トレード。この2つは上手く調和しようとする事柄というより、どちらかというと対極に位置する分野だと私は感じていました。自動売買で負けが続くと「やっぱ自動売買では相場の変化に対応できない!裁量トレードを勉強しよう!」と感じ、裁量で上手くいかず損切が遅れたりすると「自動売買ならルール通りのトレードができる!自動売買に任す!」と右往左往した人もいるのではないでしょうか。今回は管理人の経験からこれら2つの関係性について考えてみました。

それぞれのメリット・デメリット

裁量トレード

  • 柔軟な対応が可能
  • 判断が難しい

    自動売買

  • 放置できる
  • バックテストでトレードの傾向を把握できる
  • 相場に合わない場合、負け続ける

    共通していると思うこと

  • 他の参加者を出し抜く必要がある(=優位性がある)
  • 続けていればわかってくることがある(=成長の余地はある)
    自動売買についても売買モデルは成長しませんが、運用する人間は成長することができます。

    裁量トレードのジレンマ

    実は裁量トレードにおいてあまりルールを厳密に決めていくと自動売買のようになってしまいます。「わかりやすいチャートでトレードしましょう」と言われますが、あまり綺麗なチャートばかりに拘るとどんどんトレードは少なくなります。
     
     
    例えば過去のサポート・レジスタンス付近で押し目買い、戻り売りするエントリーをするとします。
     
     
     
     
    最初の売買ルールは以下です。

  • 過去のサポート・レジスタンスまできたらエントリーする

    段々とそれだけでは上手くいかなくなり、ある条件を加えたとします。

  • 過去のサポート・レジスタンスまできたらエントリーする
  • ライン際でローソク足実体の1.5倍程度あるローソク足で反発を確認してからエントリーする

    更にある条件を加えたとします。

  • 過去のサポート・レジスタンスまできたらエントリーする
  • ライン際でローソク足実体の1.5倍程度あるローソク足で反発を確認してからエントリーする
  • 期間20の単純移動平均が上向きなことを確認する

     
     
     
     
    だんだんルールが固まってきました。
     
     
     
     
    そうなると過去の検証作業もサンプルとして信頼できるデータが集まるようになってきます。そして定義できるルールなら自動売買でも可能なことに気が付きます。
     
     
    しばらくすると「ルールを加えていくとどんどんトレードがよくなる」ということが幻想(またはとても困難なこと)だと理解すると思います。
     
     
    実は裁量は「曖昧さ」が武器であり、あまり厳密にルールを決めていくと優位性が低下する傾向があります。
     
     
    「なんとなく方向性を判断する」という能力はここまで機械が進化しても実現は容易ではない。大きな人間の強みです。
     
     
    裁量トレードのジレンマとはルールをガチガチ決めてしまうと期待値が低くなることだと思います。このイメージは自動売買でよくある過剰最適化とも少し違います。
     
     
    裁量のトレードなら「なんとなく方向性を判断する」という人の感覚を活かす枠組みが大事だというのが私の意見です。

    まとめ

    ・裁量トレードの優位性は「曖昧さ」
    ・それぞれの短所を補うような取り組みができればベスト。
    →自分の手法を簡易的にでも自動売買のルールに落とし込み、バックテストで過去の優位性を確認する…など
     
     

    自動売買については少し古い枠組みのものをイメージしています。例えばTwitterのワード分析を行うもの、AIを活かした自動売買についてはまだ勉強中であります。
     
     

    管理人は自動売買、裁量トレードについて程々に優位性があれば、無茶さえしなければ「今はまだ」相場はお金を儲けさせてくれると信じています。